前説として
中心を意識すると言うけれど・・・
立つ
 普通に立っている時、重心を感じるなどということは、それ程無い。後ろからポンと押されてよろめく瞬間、倒れちゃいけないと足を出して踏み留まる。足を出さないで、誰かを掴むと云う事もあるが、それは、重心が崩れ倒れないよう藁をも掴む状態になる事である。
 自然体では、両足を肩幅に開いて立ち、踵と親指の付け根の4点で自分の体重を支えている。均等に掛かっていればその四角形の中に重心が有り、安定している。
 橦木(レの字立ちとも云う)に立つ場合、前足側のつま先はまっすぐ前に向け、後ろ足のつま先は斜にししっかり踵を付け、前足側を曲げ、膝を足先より前に出さない。後ろ足は軽く伸して、地面をしっかりと押さえるようにし、上体を前側に少し倒して、前重心になるようにする。
 前後左右に動く場合、橦木に立つのは、手の動く範囲や、腰の動きを考えると、合理的だと思う。腰の切れを使うボクシング等では、前足を中に向けて、構えるが、逆の半身になる事がほとんど無いから。剣道では、橦木の立ち方を嫌う。前後の動きに特化し、腰の回転を使わず、半身を取らない構えになっている。
 
歩く
 歩く時、足を投げ出すようにして、颯爽と歩くのは美しいかもしれないが、腰が上下動したりする。登山などで重いザックを背負ってポンポン跳ねるとその重さが肩に食い込む。腰の高さが一定になるよう意識して歩いてみる。踵を上げず床を蹴らない様に摺り足で。日本の伝統的な所作、文化・芸能では、腰を落した摺り足が基本。
 合氣道の動きの中で、すっとした立振舞いは、軽やかに動く下半身に対して、揺るぎのない上体が造り出す。動いていても安定した重心を造るために、稽古をしていく。それが、まず第一歩。
 
舟漕ぎ運動、一教運動、ひ力の養成
意識
 杉野道場では、全体でこの稽古はしない。普段の稽古から学んで行くし、心優しい?先輩が親切丁寧にお教え下さる。中心を意識することと、力みを抜いて腹から力が出て来るように稽古することが大事。
 壁を押す事を考えてみよう。まずは、壁の横に立ち、腕を壁に伸して壁に寄り掛かるようにし手の平で支える。腕は、まっすぐ伸さずに余裕を持たせていても、曲らないようにしているだけで、しっかり寄り掛かれるはず。支えている力だけで充分。次に、半身になって押してみよう。後ろ足を伸して踵もしっかり地面を踏んで、腰を崩さずに手の平に力を伝える。腰が大事だと分かるはず。
 坐りの呼吸法は稽古の最後に行う。手首の力を抜き、丹田の力を肘に伝え前に送っていく感じを掴む。
 
仕手:正面打ち、横面打ち
打ち
 正面打ちは、そこから腰の上下や横に振る事の無いよう前進して、上からだったら斬る様に、当身だったら、腰から前に腕を出してそのまま体当たりの様に、力を抜いて、自分の身体を剣や棒にし、体重をのせていく。
 横面打ちは、右で横面を打とうとするなら、左半身の左手で正面を打つように間合いを詰め、右に踏み込んで打つ。
 
受け:捌き、入身、転換
受け
 捌きとは、例えば手首を取られた場合、相手が充分になる前に、その手首を中心にして自分が動き、相手の力の方向を変化させ重心を崩して行く。富木流では、この体捌きと崩しの理合いを体系付けて稽古していて「基本の体捌き」、「七本の崩し」や「五本の当て」などがある。