考察1:カケから射を考える
  ---勝手の働きと射法---
2004年ごろ原文作成、時に応じて加筆修正
・・・私が使っていたのは堅帽子<深懸けの筋交い>の三つカケでした・・・
30キロ以上の弓を楽に引きたいがために、強弓用と言われる四つに変更しました!!
 そこからが、試行錯誤の連続、『さぁ、どう引いたら、良いのか?!』

 「静動のカケ」は四つであっても捻るカケだと?!

 平付けでも、弱い弓なら軽く親指を押さえていれば・・・
  *平付けで引いて来た方が、離れに際して、勝手の操作をしなくても良い分、楽なのだが?!

 三本の指で引いていく感じで、抱えるように引いてもみた。弦の懸かりが弱いため、親指で弦を押すようにしながら、さらに、弦との密着を良くするために、深く取懸けたり・・・

 しっかり搦めて行くには、やっぱり捻りを入れていくようにしないと・・・

 担ぐと抱えるの狭間で、探究していく事に
 で、三つカケです!!

 三つカケにおいて、弦枕は一文字が一般的で、筋交は四つ用で親指が下を向きやすいと仰る方を見受けるが、果たしてそうだろうか?

 一文字のカケで、摘んでいないのに親指が上を向き、窮屈な会を強いられていないでしょうか? 下弦を取るために有利なカケではありますが、親指を弦に直角に保持するためには、常に捻りを意識していないといけないカケでもあります。
 捻れば捻る程、親指は前の的方向に向いていきますが、これが、甘いと、下弦に引かれて、親指が上を向いて行くことになります。強い弓であればある程、また、下の立っている下の強い弓であればある程、親指は立ち上がり、弦は親指を弾こうとして行きます。

 まぁ、強い弓にしないで、下弦を開放する離れを志向するならば、頼もしいカケではありましょう!!

 反面、この一文字のカケにあっては、斜面の捻って出す離れでは、下弦操作・上押しの角見が相まって、素晴らしい離れを魅せてくれます!!

 今の強弓用の四つは、深懸けの大筋交いですが、取懸けに関しては、三つと同様、親指は弦にほぼ直角にしていきます。会で下からの覗いてみれば、弦枕にしっかり搦みつきます。

 しっかり搦みつく事が、大事でありましょう。

 「或人の言いしは、カケ口一文字、離れ際に弦を揺るがし、離れ濁りて、矢色も宜しからず・・・」こうありますが、研究する余地があります。
2010/8/16
 20歳の頃、親指の第一関節の処を三針縫う怪我をした。そのため、弓道を習い出した当初から(1997年)、堅帽子を使用している。
 初心者の頃は柔帽子(和帽子)が良いというのは、弦を持っている実感があり、離れの境地・時機を掴む事に優れていて、使いやすく軽い離れが出せる利点があるからだ。強い弓でも、皮を何重にも重ねる事で対処出来る。
 三十三間堂での通し矢で研究された堅帽子は、矢数をかけても疲れにくく、強い弓が引け鋭い離れが出る。その反面、弦を持っている実感に乏しく、握りこんだり摘んだりして手先の力を抜けないとか、ひっぺがして離れたり、指を開いて放したりして、離れの妙を知る事が難しい。
 柔帽子をチョンガケと蔑むものがいるのは、残念な事だと思う。
2007/8/1
 筋交いのカケは、手の自然な形になるよう、親指が中指方向に斜め(下向き)に向き、親指に軽く中指を乗せられる。添え指を付ければ四つにもなる。
 一般の一文字のカケは、手の甲に平行で、人差し指と同じ方向に向き、親指に中指を曲げて乗せる。親指を上に弾いて使うのに都合が良い。
 では、柔帽子(和帽子)のカケは、どうだろうか。このカケは、手に馴染みやすく、親指の腹皮を重ねれば強い弓でも大丈夫だし、弦枕を自分に合わせられる自由度がある。親指の第一関節で弦を掴むようにして使うが、非常に
軽い離れを出せる。
<取懸け>
 まず、カケのつけ方だが、堅帽子の控えの硬いカケをつける時は、新しい内は取懸けの状態にして紐を締めるが、馴染んだら、控えのバネを殺さぬよう、手を軽く開いて締めて行く。取懸けの状態では、少し窮屈だが、指の力を抜いて行くと控えをバネにパッと開く。勿論、親指は反る事を意識し、握り込まないようにしないと、カケの腰を折る。

 それでは、取懸けから考えてみよう。

 取懸けでは、右親指の腹(弦枕)を弦に直角にあて、前腕をひねる(懸口十文字)。 この時、弦枕に弦がしっかりと懸かるようにして、親指全体で弦を押し弦枕にが乗るようにする。

 実際は、矢を”弦に直角”に対し筈一つ分上に番えるとか、弓と矢、矢と弦の角度を同じに番えるが、カケを弦に直角で取懸けると、親指が上を向いているように見える。矢が零れないよう捻りを加えるのだが、手首だけでなく前椀を使って肘から先を捻るようにする。捻りは、矢を安定させて零れないようにするだけでなく、押手の角見の働きを助け、右肘を締めるのに役立つ。

 (取懸けでは、弦に対して横から懸け、親指の上に中指を乗せ、人差し指は添えるだけで力を加えず、小指を締め前椀で捻る。手首は固定して鍵を懸ける。腕の下筋を張り、左足親指を踏んばる。)

 次に、羽引きをして下弦を取るのだが、適度な捻りと、小指の締め、肘の張りを意識する。ここから打起して行くに従い、親指の腹で弦を押して行く感覚を持つ。また、手繰って下弦を取ってしまうと、筈を押してしまい矢零れを誘発してしまう。ここでは、下弦を取る事よりも、弦を押す事と、捻りに重点を置く。

 堅帽子で、控えの硬いものは、離れでバネのように働き、軽い離れを出すが、手首の固定においても、有効に働き、取懸けた形がそのまま会まで至る。

 柔帽子のカケでは、親指の第一関節で、弦を掴むようにするのだが、面で受けることで、しっかり保持出来る。そのまま、親指を曲げた状態で軽く中指を乗せて抑えておき、会から離れで反るようにしていく。
 和弓を考える上で、他の弓と比較してみると、弓の真ん中に矢を番えるボウガンの構造は、総てのベクトルが、ただ真直ぐに矢に懸かり、矢羽根の取付けた向きと重心に依存して矢を飛ばすようになっている。また、アーチェリーでは、バランサーを装備して弓の振動を抑え、効率良く矢を飛ばす構造になっている。
 それに引換え、和弓は上が長く下が短い独特な構造で、角見を利かせ矢を押し出して飛ばす。上は撓りが大きく、下が短いため、下が強いとも云える。
<打起こし→大三>
 筋交いのカケでは、取懸けに於いて、親指を弦に直角に懸けると、弦枕の上側ので弦を受けることになるが、捻りを加えることで、親指全体に弦が搦むようになる。下弦を取ろうとして弦を弦枕に懸けるようにすると、手繰ってしまうので注意が必要だ。

 打起こしでは、弓矢を持った両拳を約45度の角度に上げていくが、始めの内は、肩は上げないようにする。初心者は肩が上がって窄まったりして、会で伸びる事が出来なくなるので、注意して欲しい。

 打起こしから、押手を押し開き、右肘は流れないよう保持し、右脇を張り、勝手は引かれるままにして大三を取るが、このとき、弦に角度が付き、また、勝手の手首を固定しているので、親指が少し下を向いていく。それに伴い、弦枕の上側に弦が懸かっていたのが、弦の角度が弦枕に合い、で支えるように働く。そこで、右肘を引上げ弦を上に持ち上げるようにして下弦を取る。*下弦を取らない場合は、意識して親指を的に向いているようにする。

 また、捻りは、前椀全体で出し、弓力をカケに預ける。手首が上に曲って摘み引きにならないように、また、しっかり持とうとして親指を曲げたり脇正面に向けないようにし、弓の力を弦枕に受けるだけにする。逆に、ここで手繰っていると、矢を押したり(矢零れ)、捻りが戻った時に弦枕の下から外れて暴発したり、離れで手首が戻り弛んだりする。脇正面に向いていると、矢を押さえる事が出来ず、引分けで矢口が開いたり、矢を落したりする。

 カケで弦を握って弓力を受けているのではなく、右肘で受けている。これは、弦がカケに引っ掛かかっていて、その延長線上にある右肘を、右脇を張り上腕で支えることで、手首の力が抜けて、弓力が右肘に懸かってくる。

 手首の固定と、肘で力を受ける事が大事。
 私は強い弓を得意としている森茂夫さんの鰾弓(伸びの25kg)を使っています。棒成りのグラス(上押しをかけ、捻って使う)からこの弓に変えたのですが、この弓は、裏反りも強く、上押しや捻り込んだり、引き過ぎたりするのを嫌います。非常に下が強いので、上押しをかけすぎると、矢が失速してしまいますから、中押しで素直に押して行けば、矢を押し出す力が強く働き、素晴らしい矢勢を出すでしょう。 今は、上押しの強すぎる人が多いので、下を弱めた弓が多いといいます。 まだまだ、使いきれていませんが道具(弓とカケ)を信じて使っています。
 縁あって、御弓師柴田勘十郎さんに出会い、また、そのお弟子さんが神奈川にいると聞き及んで、弓を打ってもらうことになりました。森さんよりもさらに、強い弓になってしまいましたが(笑)
<引分け→会>
 大三から引分け、会までは、勝手を担ぐように、下筋を使って肘を大きく後ろに持っていく。髪を掻き揚げるようにという人もいる。胸の中筋から左右に開くように、体を弓の中に割って入る気持ちで。

 肘の位置を考えた場合、両肩の線に対して右肘の位置が一直線より、かけ金と云う右肘をやや背中側に入れた方が大きい射となり、離れに際し矢通りに抜ける。

 会では、引分けを完成され、さらに、そこから天地左右に伸合い発射の機を熟させるが、縦横十文字の規矩を堅持した上で、左右均等に張合い、気力の充実で伸合う。

 丹田を中心に縦横十文字に無限に伸び、気力の充実を持って気合いの発動を促す。

 *会に至っては、弦のテンションは、もう、カケで捻って弛ませて、親指に搦ませるような事は出来ず、弦枕には、で接している事になる。捻りは、取懸けの時の力程度で充分で、しっかり弓力を保持出来る。

 柔帽子では、親指の第一関節で弦を掴んでいるので、面で接し弓力を保持している。
 手の内10年とか云われます。今は、まだまだ勉強中ですので、感じた事を!!
 太くて強い弓となれば握る事は出来ず、三指で側面を挟み込み虎口で弓力を受け親指根で押す、そんな基本的な事しか出来ません。天紋筋を支点とし、押手の親指を的に突き込むことで上押しをかけるとか、「三角の手の内」で外竹の左角から捻るとか、斜面の「紅葉重ね」などは、小さい手の内を作れ、親指根と小指を接近させる事で自然に締めた手の内となるとか、手の内の捉え方は多岐に渡ります。
 また、締まる手の内(会で完成している)と、締める手の内(離れで締める)がありますが、離れに際し、角見を押すことには代りがないと思います。只、安定度とか伸びて離れるには、最初から締めていた方が良いかもしれません。
<会→離れ>
 離れは、体の中筋から左右に開くように伸長し、会の充実の上で気合いの発動とともに矢が自然に離れるのが望ましい。離れは鋭く軽妙でなければならない。

 そこで、離れを出すには、『弓に割込む』『胸を開く』『肩甲骨を締める』『押手の親指を的に突き込む』とか、弾いて出す場合には、『後ろに弾く』『上に弾く』とか、いろいろ言われる。離れを出すためと指を開いて放してはいけない。

 では、実際はどうなのか。

 弦が弦枕ので受けていることに、注目してみると、弦枕から滑るようにして一瞬に離れることで鋭い『離れ』となるし、下側から離れると、親指が上に飛び軽い『離れ』となる。

 大三で肘を引上げた角度(前椀、手首、カケの捻り)を維持しつつ、下筋を使い肘を先攻させて会に収めるのだが、そのまま、前椀の捻りを解かず、肩を中心にして肘を背中の真後ろに持っていくような引き方では、もちろん、矢筋に伸びていなければならないが、弦枕から滑るように、『カケをほどく』『後ろに弾く』とか『引き斬る』ように離れた方が良い。強い弓の場合、肩を中心にして肘を回転させると、矢筋の伸びの方向と回転が合わないので、背中で伸びるようにしながら肩甲骨の下を締めていく。上腕三頭筋を使うと言う人もいる。

 四つのように、捻りを解いていく場合は、小指の締めで手首(前椀)を返していく。*四つでは、平付けで引いてくる。

 肘を後ろに持っていく場合、肘が収まっていないと矢は後ろに飛ぶ。前椀の角度が45度を保っていないと、平付けになり、暴発しやすい。

 また、引分けの延長で肘を下に引いていくとか、腰の方に引いていく引き方では、『上に弾く』方が矢通りに抜けるが、肘を使わないと、的の下に行く。*ここで、本弭を引き上げる力も使うと言う人もいる。

 では、押手と弓の関係はどうだろう。中押しは、弓の下の強さを使って、鋭い離れを求めていく。上押しでは、弓の撓りを使って、矢を押し出す事を重視していく。

 中押しで伸びていく場合は、押手とのバランスで考えると、勝手がいろいろしない方が、弓の力を使えるのではないだろうか。素直に、弦がカケを滑っていく離れは、弓のバランスを崩す事無く矢を飛ばしていく。弓の上の撓りと下の強さを活かすために、押手の下筋を伸しつつ角見を効かす伸びのある手の内と、勝手は矢通りに抜けるように。

 上押しで捻りを利かせ、弓の上の撓りを活かした射をする場合は、勝手の肘を下に引いて、下弦から離れた方が、矢を押し出していくのに都合が良い。これは、弓の上の撓りを、勝手肘で保持して大きな円弧を作るのだが、離れで弓の下方が先に膨れ、筈を押し上げて矢を持ち上げてくれ、上押しの力と肘を下に引いていく伸びで、上の撓りを大きく使って矢を押し出していく。

 上押しであっても押手の下筋も使っていくのだが、上押しが過ぎたり押手の小指を締め過ぎると、弓の下が弛み、矢を上に飛ばす力も弛んでしまう。また、勝手の肘が下に引かれていないと、弓の上の撓りが使えずに、矢飛びが悪くなる。指を上に弾いただけの小さい離れでは弓の下が効いて矢は上に上がるが・・・。

 一文字のカケでは、上押しを掛けて使うのに適していて、親指を少し下に向けるだけで、強く下弦を取れるのだが、手繰ると、上を使えなくなるので注意が必要だ。

 さて、筋交いのカケでは、手繰っても、そお強く下弦を取れないが、弓の上の撓りを大きく取れる。そのため、上押しを掛けなくても伸びのある鋭い離れが出る。会でさらに伸びていって、弦枕で支えきれなくなって外れてしまうような離れが合っている(『雨露利の離れ』を目指す)。中押しで伸びて大きく離れよう。

 筋交いのカケを使い、上押しで強い離れを目指すなら、四つのように捻りを解いて引くとか、肘を下に引いていくなら、手繰り気味にして指を上に弾く引き方が良いだろう。下が強い場合、離れの瞬間に速く、大きく膨らむため、手の内を締めて上の撓りを殺さないようにする。ただ、手下の弱い弓では矢は下に行く。

 また、筋交いのカケは、弱い弓や伸びの無い引き方では、離れが出にくい。引き放しと、取られ兼ねないが、背中を使って大きく離れを誘う。強い弓では、弓手が弱いと前に飛び、負けまいとすると左肩が前に出て、腰のバランスが崩れ、後ろに飛んだりする。手繰って引くと、肘が後ろに引けず、小さい離れとなるし、下に落ちる。弓に割込み、大きく伸びて大きく離す。小さい手の内と妻手、伸びて伸びて!!

 柔帽子では、ぎり粉で摩擦を大きくしていない分、ちょっと親指を反るだけで、離れ易くなっており、押手と連動しての小指の締めと親指の伸びとで離れるように使う。
 押手(おしで)に対し勝手(かって)、弓手(ゆんで)に対し馬手、妻手(めて)と対を成す。弓道用語は、けっこう難しくて解説書を片っ端に覗き込んでます。手の内、取懸けなども、流派によって違いますから、先生の教えを守って下さい。
<残心(身)>
 残心(残身) は矢の離れた後の姿勢であり、離れの結果に生じるもので、矢が離れた後も姿勢を崩さず、気合いのこもったまま天地左右に伸び、矢所を注視する。射の総決算であり、縦横十文字の規矩を堅持する。精神(残心)は、形(残身)に表れ、その良し悪しは射手の品位格調を反映する。

 上押しと捻りをかけて大きな離れをした場合、押手は左下に収まり、勝手は、矢裏の延長上に飛ぶ。また、下筋を使い、中押しで離れた場合、押手はそのままの位置で収まるか、それほど落ちずに後ろに行く。押手は弓相応の捻り分、少し手首が振れるが、故意に振ってはいけないのは言うまでもない。締まる手の内では、大きく手首は折れないようで、手の中で弓が回る。角見を押し続け離れで締める場合は、手首が折れ弓を掴む感じになる。

 勝手は、矢筋に伸びてその延長上に収まるが、四つや指を上に弾いて離れた場合は、手の甲が後ろに向く(手の平が脇正面)が、弦枕を滑らすように離れた場合は、手の甲が斜め上を向いていて捻りが残っている。
 今の自分が目指すのは、中押しで手の甲が上を向いたままに、素直に伸びた離れ、残身を是としたい。これは、使っている弓の下の強さを充分に活かして、鋭い離れを出したいから。
 そのために、模索しているのだ。先生に付いていないので、文献を参照し、実際に試してみて、どれとどれの組合わせが良いか確認しながら・・・
 以上、武道楽者の考察です。25キロの弓+さらに強い弓を使っていますが、決して強い弓とは思っていません。また、昔ながらの弓の成りで、下も強く、中押しで鋭い矢飛びをします。他にも武道をしていますから、「こんくらい引けないと」って思っています。至らない点も多々有るとは思いますが、御指導の程、よろしくお願いいたします。
・・・・・次は、『弓と矢飛び』について考えてみよう。